三鷹交通が教えるタクシーメーターの使い方
教授名: 菅野 昭人
授業科目: その他
勤務先: 三鷹交通株式会社
勤務地: 東京三鷹市
タクシードライバーにおける基礎疾患や障害による採用基準
教授名: 長倉
授業科目: その他
勤務先: 株式会社越谷タクシー
勤務地: 埼玉越谷市
神奈川県のタクシー地理試験について
教授名: 若杉 信洋
授業科目: その他
勤務先: 北斗タクシー株式会社
勤務地: 神奈川横浜市
公開日:2021年12月10日
勤務地 | 埼玉越谷市 | 勤務先 | 株式会社越谷タクシー |
職種 | 運行管理者 | タクシー歴 | 6年 |
プロフィール |
タクシー転職大学では各項目の授業を質疑応答形式で行った内容を記事として公開しています。転職の参考にしてください。
ー疾患に関する質問が多いんですが、採用するにあたりどうでしょう?
長倉教授―年齢層が高い業界なので健康面の数値が高かったり、なにかしら疾患があったりする方が多いですね。稼げる=都内というイメージがあるため、埼玉はあまり応募が来づらいです。そのためどこの会社もほとんど採用基準というハードルは低めだと思います。
ただ基礎疾患に関しては弊社社長は厳しく見るので、少しでも数値が悪いと呼び出されます。健康診断マニアですね(笑)
うちの会社は健康診断の結果が来たら社長自ら一人ずつ全員と面談するんですよ。血圧が高いのが2回続いたら強制的に病院に行かされます。社長の考えとしては疾患も持っているからダメというわけではなく、しっかりと通院治療をしていれば良いという考えなんです。
なので疾患を持っているのに放置している状態はダメですね。
ーではどんな病気を持っている人でも、通院していれば大丈夫というわけですか?
長倉教授―説明会などの段階で気を付けているのは運転に支障をきたす疾患です。
例えば運動に支障をきたす高次脳障害をお持ちの方のご相談があったのですが、お断りをさせて頂いたこともあります。
タクシー乗務員として就業できる能力があるかな?と思った時は産業医と相談をして産業医の意見に従います。
あとは心筋梗塞を2,3回繰り返していると少し厳しいかなという感じですね。ただ極端な話をしてしまうと、ステントを入れて治療をしっかりされている方は何人も就業しています。あくまでも治療を継続していることが前提になりますが。
弊社の場合は、たとえ心筋梗塞を起こしてしまっても復職への道はしっかり面倒を見ます。例えば、治療するなら診断書を持ってきてという感じになります。仮に心筋梗塞でステントを4箇所入れたとして、普段通り就業での期間は運転時間を短くして、この時間までに就業するようにという感じでやっています。徐々に慣れてきたら隔日勤務に戻すという感じですね。結論、疾患を持っている方は現在進行形でしっかり治療されているかが重要になります。
ー業界自体で疾患をお持ちの方は採用しないということはあるのですか?
長倉教授―これはそれぞれの会社の考え方次第だと思います。結局一般車でもそうですが、居眠りをしてぶつかるのと、よそ見をしてぶつかるのでは居眠りをした方の方が罪が重くなってしまいます。
いわゆる健康起因の事故だからです。健康起因によるこの業界では重大事故になってしまします。
一般の車で実際に居眠り運転での事故があると思います。それと同じでもともと持病を持っていて、運転に支障をきたす高次脳障害だと分かっていて乗車させ、それが原因で事故になってしまったとなると、軽い軽傷の事故でも業界的には重大事故という扱いになってしまうんです。
結果、健康起因の事故ということで、運行管理者は何をやっているんだということになってしまいます。採用した人が運行管理者だとしてもその人に罪があるというわけではないですが、入社時の健康診断や点呼時の様子をしっかり見ていたのか?、事故とかに厳しい所は運行管理者は気にすると思います。
疾患に関して弊社の一つの基準としては病院に行っているか行っていないかということですね。その次に、その結果が健康診断で分かるので、改善がみられなければ病院に行きなさいと言われます。何回も高い数値を繰り返してしまうと診断書を持ってきてという話になりますね。弊社の場合は、病院に行っているかが重要になります。
ーでは、業界への縛りというよりは、各社で決められた基準でということですか?
長倉教授―業界の基準というのは特にないと思います。
認知が酷くてという人も、乗車されたお客様を不安にさせるのでお断りします。後は深視力ですね。これは二種免許の基準と一緒なです。
会社として雇う雇わないとうのは、応募者の業務に対する能力で判断していますが、最終的には心筋梗塞を何回も繰り返しているとか運転に支障をきたす高次脳機能障害のある方はちょっと難しいですね。
また、お客様を安全に目的地までお送りする業務である関係から、お客様から見て「この方の運転で大丈夫なの?」と不安になってしまう方も就業能力の判断としてお断りすることがあります。
ー入社前健康診断で貴社自体は採用したいけど、産業医の方からちょっとと言われた場合はどうなるんですか?
長倉教授―入社前の健診で健診結果を最終的には社長が見るのですが、血圧が高くても通院をしていれば問題はありません。ただ、先ほどお話した特殊な病気の場合はそこから、産業医の意見を求めます。あるいは病気で長期欠勤したときに復職させるかどうかという話になった時に産業医に意見を求めたりします。なので、一定のラインまではしっかりと治療をしておけば大丈夫です。
―産業医からタクシーに乗務させてはダメというのはないのでしょうか?
長倉教授―たまに電話がかかってきますね。健康診断の結果は産業医にもいくので。極端な話、肺に陰影があるので再検査した方がいいですよとか。乗らせてはダメということはほとんどないです。
ー入社前の健診と入社してからの健診で何が一番引っかかることが多いですか?
長倉教授―やっぱり肝臓、糖、尿たんぱく、耳、目(視力)が多いですね。視力は免許で0.7ないと取れないので基本的なことですが、耳は免許センターで関わらないので、極端に遠ければちょっと難しいかなって感じではありますね。ちょくちょく健康診断で1000Hzで引っかかっている人はいるんですけど、そうなってくるとお客さんの話が聞こえないので…。この部分に関しては、補聴器などで対応しているかどうかが判断の材料になります。
透明シートとかで仕切られているとさらに聞き辛いということも出てくるので、耳でひっかかる方は時々いらっしゃいますね。
ー糖尿病で断られるということもありますか?
長倉教授―糖尿病もしっかり治療をすれば大丈夫です。通院の結果はちゃんと出すようにと言われています。
―疾患を持っている方の相談で一番多い疾患は何ですか?
長倉教授―やっぱり高次脳障害ですかね。脳梗塞、くも膜下出血とか色々…。言語障害を起こしてしまったとかは直接電話でご相談いただくとはありましたね。実際にそれ以外はないですね。面接に来てみて健康診断を受けたら凄い糖尿病じゃないかということはありました(笑)
自己申告をしてこないんですよね。説明会とかでエントリーシートには疾患は無しと書いてあったりするんですが(笑)
ただ、糖尿病の基準も色々だと思います。数値が7の人で糖尿病と言われてしまうと、症状もほとんどないわけで、9だと多尿になってしまって変な痩せ方だとちょっと厳しいんですが。ただ、糖尿病だから絶対に雇わないというわけではないです。あくまで運転に支障をきたさないのであればというのが基準になります。
ー身体障害者の方はどのくらいの基準であれば大丈夫なのでしょうか?
長倉教授―弊社でも何人かいますね。まずは人工透析を受けている人。等級は3級ですね。透析は隔日勤務だとピッタリですね。出勤して明けに透析してということが出来るので。採用に関して能力が大事なので、運転は問題ないとしてもコミュニケーション能力に問題があると判断をすると採用を見送らせていただいております。純粋に能力で判断ですね。逆にそこさえ満たしていれば多少の病気があったとしても大丈夫です。
ー過去に疾患をお持ちの方で事故を起こされてしまったことはありますか?
長倉教授―僕がこの会社に入社して3年になるのですがここ3年ではないですね。前の会社ではありました。疾患で心筋梗塞を持っていて運転中に起こしてしまってそのまま路肩に突っ込んで最終的にその方は亡くなってしまいました。事故で亡くなってしまったわけではなく心筋梗塞の処置が間に合わなかったという感じですが。前のタクシー会社と合わせて6年になりますが健康起因の事故で亡くなったのは1件だけですね。確率的には少ないと思います。
ー肥満とかはあまり関係ないのですか?
長倉教授―次の健康診断までに落としてきてとかの注意はされますね。車に乗れたら大丈夫です(笑)
ー睡眠時無呼吸症候群とかはどうですか?
長倉教授―それは取り組みたいところですね。現状で検査とかはしていないですね。ただ、会社が推進して進んでいる企業は検査しているところもあると思います。国交省からも毎年、年末年始輸送安全総点検で書くところがあるんですけど、検討しているんですよね。怪しい人には自分で寝ている時に動画を取ってもらったり、家族に聞いてもらったり、1時間に無呼吸がこれくらいあると病院行へった方がいいよとかは話します。
会社として積極的にSASの検査をするかと言うと正直厳しいですね。
ただ、必ず点呼時に充分な睡眠の可否についてはたずねます。
ーもし睡眠時無呼吸症候群の方が入社したいとなった場合はどうなりますか?
長倉教授―治療しているかどうかの判断になるとは思いますね。難しい所ではあるんですけど。
ー精神的な疾患とかはどうですか?
長倉教授―鬱は気を付けないといけなくて、向精神薬を飲んでいると眠気が来るのことが多いので、もしそういう方がいたら先ず投薬の種類を調べるのと産業医と飲んでいる薬を相談するという感じですね。なので鬱病に関しては飲んでいる薬によりますね。
ータクシーの業務が影響でなりやすくなってしまう病気とかはありますか
長倉教授―他業種の事務職も一緒ですが、ずっと座っているので血流が悪くなるので大腸がんのリスクはあると思います。あとは腰痛ですね。
ー隔日勤務とかだと影響あったりするんですか?
長倉教授―隔日勤務の時にリズムがつかめなくて社長と相談したことがあります。48時間をひとサイクルと考えていて、隔日勤務の人は一日に2回寝ます。明けで帰ってきて寝てまた夜の22時とかに寝てとかで…。朝早く起きて夜中の1時に上がって3時4時に寝れるわけではないんですよ。寝たくても目が覚めてしまって(笑)結局寝るのが5時とかになっちゃって、朝の11時には起きないといけないので慣れるまではしんどいですね。
ー日勤であれば他業界とあまり変わらないですよね?
長倉教授―変わらないですね。なので、隔日勤務は慣れるまで体に合わなかったけど日勤は前職と同じサイクルなので全然大丈夫ですね。点呼実施記録簿にしっかり睡眠がとれているかという項目チェックがありましたね。今はコロナで熱があるかとかの項目も追加しているんですけど。そういった部分では、睡眠不足の人が休んでも事故等のリスクを考えると何も言われなかったですね。
無理に出てよとか言われることはないです。さすがにずっと睡眠不足だとサボりと思われて何してるのとはなりますけど。休みやすい環境はあると思います。同じ乗り場の人たちは一人減ればその分売り上げがあがるので言ってくる人はいないですね。休みに関しては普通の会社ではありえないような理由でも、無理はさせません。ただ、その分自分の売り上げが減るのでそれでもいいなら休めるという感じですね。これはどこの会社でもそういう感じだと思います。弊社ではあまり会社が目くじらを立てないという感じで売り上げ売り上げとうるさくはないですね。
自分の好きなペースでやりたければやればいいという感じですね。別にそれに対して会社は何も言わないですね。そういった意味では健康管理はしやすいです。内勤の僕でも自分の代わりがいると考えると、たとえ熱が出ても他に複数人いるので穴開けることになっても僕出来ますとか出てくれる人はいますね。なので、そういった意味でも健康維持とかもしやすいし、ストレスとかも特にないですね。
ーどういう問い合わせが多いですか?
長倉教授―糖尿病が多いですね。くも膜下出血とかもありましたね
ー義足の方はどうですか?
長倉教授―運転や車椅子等の運搬に支障が無ければ問題ありません。
ートランスジェンダーの方とかはいらっしゃいますか?
長倉教授―採用基準に関して、そこを採用基準にすることは絶対ないですね。運転能力としっかりコミュニケーションが出来るかとかが重要なので。
※記事の内容に関しまして
記事の内容のすべてが教授が在籍している企業の就業条件の内容を特定したものではありません。
Copyright ©2020 All Rights Reserved.