タクシー転職大学では各項目の授業を質疑応答形式で行った内容を記事として公開しています。転職の参考にしてください！

他業種と異なるタクシー業界の賃金形態

ータクシードライバーの給料形態は一般的な他業種と比べて違いはありますか？

N.H教授ータクシードライバーの給料形態は異なりまして弊社ではAB型賃金という形態を採用しています。

ーAB型賃金の内容を教えてください。

N.H教授ー昔は出勤して営業したら売上に関係なく決まった給料で年功給があるA型賃金という固定給制度が主でした。他にはB型賃金といって営業成績によって歩合で支給される制度があります。

AB型賃金はそのA型とB型を合体させた形態で固定給と歩合給が支給されます。

A型賃金の場合の固定給は出番数より決定し、基本給やその他の手当などは月の出番数によって計算されます。

ー手当の内容は？

N.H教授ー弊社の場合は交通費9,300円、家族手当1,400円これは家族がいない方でも適応です。交通費と家族手当は12乗務した場合の合計金額なので欠勤すると引かれます。無事故手当が1出番15,000円ですが事故するとカットされます。

愛車手当が1出番100円、乗務手当が1出番5,000円で欠勤するとカットされます。月12出番して無事故だった場合は

交通費9,300円＋家族手当1,400円＋無事故手当180,000円（12乗務分）＋愛車手当1,200円（12乗務分）＋乗務手当60,000円（12乗務分）＝251,900円になります。

事故を起こした際は無事故手当がカットされますが損害の大小に関わらず1乗務分の手当カット以上はありません。ただし再発防止についての講習を社内で受けなければいけません。講習を受けた時間の給料は支給しています。

この講習に関しては事故の大小によって1日で終わることもあれば数日行うこともあります。

京北自動車交通では無事故表彰があって1年、3年、5年、7年、10年と年数無事故だと表彰され記念品が贈られると制度です。年数が増えれば増えるほど記念品が豪華になっていきます。


タクシー業界では足切りといって歩率変更ラインを設定している会社が多いです。足切りとして設定している売上を上げられないと歩率が下がるということですね。

ー出番数というのは決まっていますか？

N.H教授ー普通のサラリーマンと同じで週に40時間と労働時間が同じように決まっています。年間の合計労働時間を逆算すると大体月に11日の出番数になります。

隔日勤務でいうと11日出番＝22日分労働したことになります。それにプラス休日出勤が月に1出番認められているので合わせると月に11～12出番ということになります。

1出番に対して乗務手当などが付くのでそれが基本給になります。この金額は各社によって異なります。

ー基本の11出番にプラス1出番公休出勤ができるということですが公休出勤すると特典などはあるのでしょうか？

N.H教授ーそれはないです。36協定によって休日出勤が2週間に1日可能になります。1ヶ月は4週間あるので2日間可能になります。隔日勤務は1出番が2日分の勤務時間なのでプラス1出番で計12出番までですが31日まである月は13出番まで可能な月もあります。

13出番目は指定公休と呼んでいるんですけどこの時はAB型、B型共に歩合率が63％にアップします。

ーAB型とB型賃金で歩合率というのは異なるのでしょうか？

N.H教授ー異なります。完全歩合であるB型の方が歩合率が高いです。

ー歩合というのは何に対して発生するものですか？

N.H教授ーお客様から頂く売上から消費税を引いた分に対してです。弊社の場合ですとB型の歩合率は58％です。AB型の場合は月の出番の合計の営業収入が450,000円を超えた分に対して35％の歩合を支給します。下回った場合は支給されません。

ー歩合給のメリット、デメリットはありますか？

N.H教授ーメリットとして、成績給なので頑張れば頑張るほど給料が上がることです。稼ぐ人はコロナ禍の状況であっても１出番で9万円以上売上げる人もいます。平均的には5万円前後だと思います。

逆に頑張っていても売上が上がらなければ稼げないということがデメリットです。特にいまのようなコロナ禍だと夜のお客様が減ってきているので22時からの2割増しのメリットが得られないことも大きいですね。

ー有給休暇の給料はどうなるのでしょうか？

N.H教授ー弊社の場合はその月の自身の平均営収を仮想営収として算出します。その仮想営収に対して有給手当が決まります。歩率に換算すると約63％です。

ーコロナ禍において1日の営業収入はどれくらいでしょうか？

N.H教授ー平均で4万円前後ですね。乗車回数は25回くらいです。天候が悪い日だと30回くらいに増えます。

ータクシーアプリでの配車の割合は？

N.H教授ー回数でいうと乗車回数の1割くらいです。

ー平均月収は？

N.H教授ー個人的には乱高下が凄いですが平均的には30万円前後だと思います。

ーコロナ前での収入はどのくらいでしたか？

N.H教授ー平均で37万円くらいだったと思います。年収だと450万円前後くらいですね。この中には賞与も含まれます。

ー賞与の詳細は？

N.H教授ー年に二回（7月、12月）の支給で月間45～50万円を売り上げたらひと月につき5千円、51万円からは1万円上がるごとに500円づつプラスされます。つまり月間営収が60万円の場合は1万円です。

タクシー会社の待遇でよくある給料保障とは？

ーよくタクシー会社で給料保障といって乗務開始した月から数か月間給料を保証するみたいな制度を設けている会社があると思いますが詳しい詳細をお聞きできますか？

N.H教授ー他業種から未経験でタクシー業界に転職してくる方をターゲットにした制度でAB型賃金などの歩合制だと未経験の方だと最初はまだ慣れていないので売上が上げられず稼げないのでその不安を解消するために行っています。

ー給料保障を受けるには何か条件があるのでしょうか？

N.H教授ーあります。指定された責任乗務数を果たすこと、今はコロナ禍なので無いですが本来はちゃんと真面目に働いていれば達成できる程度の売上のノルマがあります。

事故、違反をした月は保証されず翌月に繰り越されます。京北自動車交通の給料保障は3ヶ月間なのでその期間は給料を保証しますが最低限として指定乗務日数と売上は決めています。

いくら保証するとはいえ休んでばかりいたり勤務中サボられてしまうと困るので。指定乗務数や売上のノルマの有無などは会社によって異なると思います。

あと他業種から転職してきた方は二種免許取得以外でタクシーセンターを含め10日間の研修をしなければいけません。その10日間の研修中も給料が保証されます。

日給で支給しているタクシー会社が多いと思います。弊社では未経験者は日給2万円、現任の方にも同様に日給2万円支給しています。未経験者は合計で20万円、現任の方は研修が5日間だけなので10万円を支給します。

入社祝い金？支度金？

ー入社祝い金や支度金という名目でお金を支給しているのもタクシー会社では多い印象があるのですがこちらの詳細を教えてください

N.H教授ー主に現任や経験者の方に向けた制度で競合他社が沢山いる中で集客するための特典としてあるものです。

ー支給時期はいつですか？

N.H教授ー京北自動車交通の場合ですと初乗務時に10万円支給でその後3ヶ月経過したらプラス10万円、6ヶ月経過で更に10万円の合計30万円を支給しています。ただこの制度にはリスクもあってどうしてもお金目当ての方が来てしまいそのような方はまた支給している他の企業に流れてしまうこともあります。

ー支給後にすぐ退職してしまった場合は？

N.H教授ー弊社では支給後に早期退職してしまった例がないですが他社では支給後1年や2年間の拘束が発生する例もあり期間内に退職した場合は返済をしなければいけません。

弊社の場合はそういった拘束はありません。しかし乗務開始後の最初の支給時はないですが2回目の支給時は指定乗務日数と売上ノルマと事故、違反をしないという条件が付きます。

ただ条件を達成できなかったらその月には支給しませんが繰り越されるだけで翌月達成すれば支給するので消滅するわけではないです。

ー売上ノルマはいくらですか？

N.H教授ー月間50万円です。

ー売上の高い乗務員の特徴は？

N.H教授ー東京のタクシーは東京特別区（23区）と三鷹市、武蔵野市が営業エリアになっていてそのエリア内であればどこで営業しても構いません。

到着地か出発地のどちらかがこのエリアに入っていれば良いんですが各タクシードライバーは自分の得意なエリア（地理やお店が詳しいなど）で営業する人は成績が悪い傾向にあります。

得意、不得意に限らずにどのエリアに行っても乗車させられる人は成績が必然的に良いです。理由として自分の営業エリアを決める人はお客様を目的地にお届けした後にまた得意なエリアまでわざわざ戻ってきてしまいます。

そのため、時間を有効に使用し、お客様をお届けした到着地でまた営業する方が効率が良く成績も良くなるはずです。