タクシードライバー無名人語録4

今日は、祝日・海の日です。海の日・・・と言われても、正直しっくりきません。多分に年代が関係しているのでしょう。つくづく、自分は昭和の人間だと思います。とはいえ、激動の昭和を生きてこられた諸先輩方と比較すると、私などはまだまだヒヨッコです。そこで今回は、昭和の時代をタクシーの仕事を通して、かけ抜けてきたタクシードライバーさんの語録を紹介したいと思います。もう引退された方もいますが、やっていた方ならではの含蓄のある言葉の数々をお楽しみください。

「有名人なんて、そりゃ数えきれないほど乗せたよ。でも、誰がどうだなんてここでは言わない。墓場まで持っていくんだ。」

【一見、何のことかわかりませんね。ですが、心あたりのあるドライバーさんには耳が痛い、プロとしての矜持を感じる言葉です。つまり、守秘義務は守りますよってこと。知り得た情報を守ることは、プロとして、最低限のマナーです。このことは、時代を越えて、原理・原則として欠くべからざるものと言えます。はっきり言って、現在は軽薄な言動が目立つプロもいないではありません。それを考えると重みのある言葉です】

「昔はさ、ねずみ色や、こげ茶色が多かったの。今はさ、桃色か橙色だよ。文句言う奴もいるけど。でもね、若い人が変えてってくれるんだからさ、そりゃ、ありがたいことなんだよ」

【23区のある特定の地域のことを言っています。どこだかわかる人は、相当に勘が鋭い人です。正解は・・・秋葉原です。昔は電化製品に関する専門的な部品を扱っている店が、軒を連ねていました。電子管なら電子管、ソケットならソケットだけを売っていた、市場のような雰囲気だったのです。そこには、業者も買いに来ていましたし、自分でラジオやらを作っている人達も大勢来ていました。当然のことながら男子率は90%を超えます。自ずと服の色は、ねずみ色・・・(これも古い言い方ですが、グレーのこと)やこげ茶色になります。そこから時を経て、現在は、パステルカラーになっていることは、周知の事実です。この方は、人が街を変え、人が街を運用していくものであることを感慨深く語っているわけです】

「昔はカーナビなんてののは、もちろんありません。今は大変に便利になりました。ですが、我々は画面上のまっ平な道を走っているのではありません。人が横切り、車が縦横無尽に走る立体を走っているんです。そこんとこ、間違えちゃいけませんね」

【カーナビは便利です。ですが、絶対ではありません。お使いになった方ならお分かりでしょうが、必ずしも最短経路を示すわけではありませんし、機種によってはとんでもないルートを示す場合があります。そして、もう一つ。原則があります。お客様はお客様の通りたい道があるかもしれませんし、そうかもしれないという想像力を、プロであるなら働かせるべきです。ここでは、自分の見て、感じたものを大切にしなさいよ、便利なものがあっても過信しちゃいけないよということを言っています】

いかがでしたか。タクシーを媒介に、人と街と時代を見つめてきた方ならではの、深みのある言葉もあったのではないでしょうか。タクシーの仕事を長く続けてきた方々とお話するのは、本当に楽しいです。接客のプロであり、会話のプロなのですから、もっともな話なのですが、多くのものを見聞きしてこられたであろうその佇まいには、歴史の生き証人としての威厳しら感じます。

タクシーは、時代も送迎しているのですね。

 

カテゴリー: タクシー | コメントをどうぞ

タクシードライバー無名人語録3

暑い日が続いております。まだ、梅雨の真っ只中のはずなんですが、今日は快晴です。先日、台風8号が知らないうちに関東を通過していました。かなりの規模のもの・・・と、TVのお天気キャスターに脅かされていたので、拍子抜けしたのですが、甚大な被害のあった地域のことを考えると、そんなことを言っていられません。天災が相手だと人間は無力なものだとつくづく思います。さて、今回のテーマは、天候です。お天気とタクシーの仕事は切っても切り離せないもの。気分だけでなく、売り上げも左右するのが、お天道様なのです。

「お着物を召しているお客様がいらっしゃるでしょう。家の玄関のかなり手前でお降りになると言われた場合は、お召し物が雨に濡れますからと言って、玄関まで車を着けて差し上げるんです。サービスもそうですけど、距離も伸びて一石二鳥でしょう」

【距離がなんたらと言っていますが、このドライバーさんの場合は,照れ隠しです。実際、数メートル走ったからといって、それほど売り上げが変わるわけではありません。もちろん、それを疎かにしてはいけませんが、ここで言いたいことは、お召し物が雨で濡れないようにという細やかな接遇の気持ちを表に出していることです。黙ってそうすることもできるでしょうが、プロフェッショナルある以上、アピールも大切な要素。お客様によっては、感激されて、そのドライバーさん、ひいてはその会社のファンになることでしょう】

「色んな商売がある。だから、雨の日でも手放しで喜ぶようなことを言わないことだよ」

【ビジネスの場で、タブーとされるのは、政治の話・宗教の話だと言われています。誰が言い始めたかは定かではありませんが、これに野球の話が加わることもあります。言わずもがな・・・な気がしますが、人の立場は、一緒じゃないよということ。天気の悪い日は、タクシー利用のお客様が増えるので、ドライバーさんとしてはウハウハです。ついつい、乗車されたお客様にも上機嫌な様子で接してしまうかもしれません。ですが、乗車された方が、例えば海の家の人だったらどうでしょう。これから、親族の結婚式に向かう人だったらどうでしょう・・・ちょっと極端な例でしたが、先のドライバーさんは、人の気持ちを傷つけないためには、想像力が必要なんだよということを言っています。日常生活にも当てはまることですね】

「よく人の行動パターンを読むといいますが、僕は自分の行動パターンを読むんです。僕ならどこで雨宿りをするかなって」

【雨が降った時に人の集まる場所ってありますね。駅であったり、ある施設だったり、地域や時間帯によっても違いはあるかと思います。先のドライバーさんの前職は外回りの営業職でした。営業エリアは23区全般。電車で移動されていたので、天候が荒れた時にどのような動きをするのか、ご自分がいちばん熟知していました。全ての人に当てはまる言葉ではありませんが、人によって違う経験則は、それぞれの局面で、違う活かし方があるということです】

ワールドカップ・ブラジル大会も終わりました。いよいよ、来るべき真夏に備えなければいけません。最近、仲間の一人が熱中症でダウンしました。日照りのよい日に表にいたらしいのですが、その時ではなく、後から具合の悪さが襲ってきたようです。炎天下の中、歩かなければいけない時は、マメに水分補給をすることが大切です。そして、キツいな・・・と思ったら、タクシーを利用するとよいでしょう。無理して倒れたりしたら、その人にとって、かけがえのない時間を失うことになりますものね。

はっきり、言います。タクシーは、人助けツールでもあるのです。

カテゴリー: タクシー | コメントをどうぞ

実践躬行

先日、ある現役のタクシードライバーさんとお話をしました。弊社からの紹介で、企業に入社された方です。乗務してから正味1年位しか経っていないのですが、その方の営業成績は、社内でも常にトップクラスです。

「経験もまだ十分ではないのに、どうして?」と、思われる方もいるかもしれませんが、そういったことは往々にしてあることです。理由として、その方に『逃げ』の姿勢が見られにことが挙げられます。新人だから、あるいは車のランクが低いからといって、自分で決めつけて、行くべきエリアに行かないということがないのです。

これはかなり重要な要素です。その方は、『なか』で動きます。「なぁんだ、そんな当たり前のこと」と、思う方もいるでしょう。法則はいつだってシンプル。ただ、その当たり前のことを、できないのではなくて、やらない方が多いのだと思います。『なか』で動くことは、私が訪問させていただく、ほぼ全ての企業のできる方が言っている鉄則です。ちなみに、『なか』というのは、色んな意味がありますが、ここでは都心のことを言います。

せっかく、日本一忙しくて、日本一利用する方の多いエリアに行けるのに、わざわざ、その『なか』を外して、端の方で動く。できる方にしたら、理解に苦しむと言います。とはいえ、できない方にも言い分があるようで、要は「怖い」んだそうです。わからないでもありません。23区の『なか』は、同じような名称の建物もたくさん在りますし、生き馬の目を抜く東京なんて言われるくらいですから、やさしいお客様ばかりではありません。

ただ、先のドライバーさんは、「だから、やめておこう」という発想が無いのです。発想が無い・・・というのは語弊がありますね、葛藤はあると思います。ですが、それ以上に「だから、なに?」という気持ちの方が強いのだと思います。ある意味で、この仕事は図太さが大切なのではないでしょうか。

ある会社の管理者の方に、稼ぐための秘訣を訊いた時、こんな風に答えていました。「せっかく利用してくださるお客様のいらっしゃる市場があるのですから、そこに行かないで、どこに行くんですか。必要なのは、勇気と勢いですよ」地理の知識などは後からついてくるもの。むしろ、スタートしたばかりの新人さんだからこそ、訊けることもあるでしょうし、「失敗してなんぼ!なにせ新人なんだから」と、よい意味で開き直ることが大切なのではないでしょうか。

先のドライバーさんは、そろそろ黒塗りの車に乗ることができるはずです。最初の頃は、ずいぶんお客様にお叱りを受けたと言っていました。ただ、その方は前向きに捉えるということを忘れませんでした。いえ、新人であることをよい意味で、巧みに利用したと言った方がよいでしょうか。

ある大企業のトップの方が、「素人の発想こそ最強である」という主旨のことを言っていたことを思い出します。経験者は知識や固定観念がストッパーになり、柔軟な発想の妨げになることがあるそうです。片や素人は、知らないだけにそういったものに囚われることがないので、経験者が思いもよらないことをやってのけ、成功するパターンが多々あるということです。

先のドライバーさんも、現在、乗っている車のグレードは正直、あまり良くありませんが、銀座などにどんどん入っていくと言っていました。中には車を選ぶお客様もいらっしゃるでしょう。ただ、タイミングが合えば、利用する方も当然いらっしゃるわけです。固定観念に囚われて、「オレはこんな車だから銀座では・・・」と考えて、逡巡する時間の方を損失と考えるべきではないでしょうか。

「四の五の言わず、まずはやってみよう!」この姿勢が肝要なんだと、各社のトップ・ドライバーさんと話をしていて、つくづく思います。ちなみに先のドライバーさんは、コンスタントに月90万円近くやっています。これ以上の証左があるでしょうか。

 

 

カテゴリー: 未分類 | コメントをどうぞ

おいしい店

私用で、香川県は高松市に行ってまいりました。ご存知のように讃岐うどんで有名な所です。うどんは普段、東京でも食べますが、これほどまでに違うものかと仰天しました。香川県出身の友人がことある毎に、「香川のうどんは」と言っていたので、「どれほどのもんじゃい!」という気持ちで地元の方がよく行く店に行ったのですが、まぁ~レベルが違いましたね。コシがあるとか、ダシがどうとか、そんな言い方自体、稚拙に聞こえるほど、完成されたものでした。

私は地方に行った時など、可能な限りタクシーを利用します。取材心ももちろんあるのですが、地元の方の声をダイレクトに聞きたいというのが、その理由です。今回もご年配のドライバーさんと話をしました。おいしい店、名所、香川県出身の有名人の話など、取留めのない世間話をしたのですが、素朴な方言の響きがとても素敵でした。

地方に行った際、なるべくタクシーを利用されることをお勧めします。業界の回し者のように思われても困るのですが、そのような意味ではなく、旅が色濃いものになるからです。そして、おいしい店、お勧めスポットなど、どんどん訊かれることをお勧めします。

たまに、「タクシードライバーさんはおいしい店をよく知っているなんて言うけど、それはウソ。同じ所でしか食べていないし、結構、買って食べている人が多いみたい」と言う人がいます。確かに時間的な問題も、お財布の問題もありますから、毎回、有名グルメ・スポットという訳には行かないでしょう。ただし、当たり前の話ですが、タクシードライバーさんは、お客様の嗜好で動くこともあるわけです。それはつまり、食通の方をご案内する機会にも恵まれているということ。言い方を変えれば、タクシーの車内は食の情報の宝庫とも言えます。おいしい店を知らないはずがないのです。

 

カテゴリー: 未分類 | コメントをどうぞ

初めからできる人はいない

地方にお住まいの方で、上京してタクシーの仕事に就きたいという方がいらっしゃるかと思います。心配は、やはり地理のことでしょうか。ご存知ない方のために、ご説明させていただきますと、タクシーには営業エリアがあります。例えば東京では、東京都特別区・武三交通圏があります。東京23区と武蔵野市・三鷹市のことです。

東京23区と一口に言っても、端から端までずいぶんと距離がありますし、神奈川寄りか千葉寄りかによっても、また違ってきます。ただ、東京以外のエリアの方にお訊きしたいのですが、ご自分の住んでいる地域以外のことを、どれだけご存知でしょうか。もちろん、都道府県は面積も違いますので、一概には言えませんが、皆さん意外とご自分の住んでいる地域の、本当に近郊しか知らないのではないでしょうか。

仕事で行く、親戚・知り合いが住んでいるなど、何かしらの縁(えにし)がないと、それほど行く機会はないと思われます。東京も同じこと。東京生まれ・東京育ちの方も、城北エリアはよく知っていても、城南エリアになると、皆目見当がつかないということが、往々にしてあります。もちろん、生まれ育ちが東京であれば、おおよその見当はつくでしょうが、そんなことは後から理屈で勉強すればいい話です。

勇気は必要かと思います。自分の知らない土地でやるわけですから。でも、言葉の通じない外国ではありません。東京のベテランドライバーさんでも、本当に道がわからない時は、お客様にお訊きするといいます。問題は訊き方です。最初から道を知っていることに越したことはありませんが、そういう人のみでは、東京のタクシー会社は回らなくなってしまうでしょう。

私の知っているタクシードライバーさんで、地方から出てきて、コツコツと道を覚え、今では都内の道のエキスパートになっている人がいます。その人の最大の武器は、訊き方が上手なことです。謙虚さが大切だとも言っていました。人にものを教えるのは、大抵の場合、気持ちが良いものです。多少なりとも優越感に浸れます。その方は、お客様にお訊きしているようで、その実、お客様の気分も良くさせているのです。そして、そこで得た地理の情報をご自分の財産にしています。問題は訊き方です。慇懃無礼という言葉がありますが、それではいけません。心から「教えていただけませんでしょうか」という姿勢を見せることが肝要です。テクニックではなく、ハートですね。

色々書きましたが、これだけは言えます。『初めからできる人はいません』

カテゴリー: 未分類 | コメントをどうぞ

タクシードライバー無名人語録2

不定期と伝えておりましたが、気まぐれですから、第2回目をスタートします。私はタクシー会社さんによく行きます。管理職の方はタクシードライバー経験者が多いので、経験者ならではの含蓄のある言葉を、時に聞かせてくださいます。今回は、管理職の方の印象に残った言葉です。

「最初にお客さまの目を見て、きちんとした挨拶をするんです。形だけじゃダメですよ。しっかり通る声で、滑舌よく、心からでないとけません」

【通常の接客の心得でもありますが、この場合は、「もし、何か悪いことをするような人が乗ってきたらどうしたらいいでしょう」という新人さんの問いに答えた時の言葉でした。何か邪な気持ちを持っている人は、スタートの段階で毅然とした対応をされると、「この人にはやめておこう」という気持ちになるんだそうです。接客の基本的なことを手を抜かずに行えば、そのまま抑止力になるということですね】

「お客さまに空間と時間を提供する劇場なのです」

【ある会社の朝礼の際に聞いた言葉です。確かに、お客さまはその貴重な時間と、世界にひとつだけの空間を買ってくださっています。特筆すべきは、劇場という言葉を使っていること。千葉にある○○ランドではありませんが、キャストとしての心構えで然るべきということですね】

「確かに困ったお客さまは、いらっしゃいます。ですが、その方がお支払いされる料金の半分は、自分の給料になる・・・そう考えれば、腹は立ちません」

【お金のことではありますが、商売の根幹でもあることです。とはいえ、ドライバーさんも、お客さまも血の通った人間です。腹の立つこともあるでしょう。ですが、そこにギャランティーが発生している以上、プロに徹するべき・・・ということでしょう】

いかがでしょう。至極、当たり前のことを言っているようですが、改めてお聞きすると、「確かにそうだよなぁ~」と思える言葉ばかりです。逆に言えば、当たり前のことがしっかりできていない時、アクシデントは起きるのではないでしょうか。例えば、お店などでお客さまの目を見ず、呪文のように「いらっしゃいませぇ~~~」を繰り返す人がいます。そんな挨拶だったら、むしろしない方がよいです。

基本に忠実であること。誠心誠意、接すること。大切なことですね。

 

 

 

 

 

カテゴリー: 未分類 | コメントをどうぞ

タクシードライバー無名人語録

以前のブログで、タクシードライバーさんの印象にのこる言葉を紹介したことがありました。経験者の生の言葉に感銘を受けたというお言葉を、先日、ある方からいただきました。確かに、私が考えて作ったものではなく、現役の方が発する言葉には、体温と重みがあります。そこで、リクエストに応えて復活したいと思います。題して、『タクシードライバー無名人語録』です。

「日本語が通じる場所でやるんだよ。道なんか気の持ちようで覚えるって」

【東京の地理が不安な地方から上京された方が、先輩に訊いた時の答えです。確かに言葉の通じない外国ではありません。分からなければ、訊くか、調べればよいのです。一見、乱暴に聞こえますが、後輩を殊更に心配させない思いやりを感じる言葉です】

「お客さまが手を挙げてタクシーを停める時、そのドライバーが、ベテランか新人なのかなんてわからないでしょう。もし、わかったら皆ベテランの車に乗ってしまう。それがないから、この仕事は新人さんでもやる気次第で稼げるんです」

【現役の方ではなく、経験のある管理職の方が、面接の際に言った言葉です。実は車両を選ぶお客様はいらっしゃます。とはいえ、いま正に必要な時は、その時に来た車両に乗る方がほとんどです。新人さんほど売上がよいことも、実際、よく聞くことです。気休めでも何でもなく、手を抜かずにコツコツやる方が上に行く世界なのです】

「痒いところに手が届く人が、売り上げのいい人だよ」

【あるベテランさんの言葉です。比喩ですが、要は人の機微がわかる人は、時間を大切にできる人であり、安全運転にも留意できる人であり、絶妙のタイミングで車をつけることが出来る人です。そのようなキメの細かい人は、必然的に売上が後からついてきます。この言葉を言ったドライバーさん自体、トップクラスの売上を誇る人だったので、非常に説得力のあるいい言葉だと思いました】

さて、いかがでしたでしょう。人によって受け取り方は違うとは思いますが、ここでお伝えしたいことは、『やる前から悩んでても仕方ないですよ』ということです。ネットやメディアは、ほぼ悪いことしか伝えません。ですが、やり方・環境・考え方によっては、この仕事ほど面白いものはない!というドライバーさんもたくさんいるのです。とはいえ、十人十色です。ピタッとはまる方も、はまらない方もいます。要はご自分次第ということです。不定期ではありますが、第2回に続きます。

 

 

 

 

カテゴリー: タクシー | コメントをどうぞ

コミュニケーション能力

弊社の紹介で入社された方で、埼玉から東京のタクシー会社へ移った方がいます。当初、「東京の地理がわからないので不安です」と、言っていました。23区と一口に言っても、神奈川寄りもあれば、千葉寄りの地域もあります。想像以上に東京は広いです。経験者とはいえ、その方の心配もわからないではありませんでした。

ただし、その方には武器がありました。さて、何でしょう。妖刀村正でも、44マグナムでもありません。それは、謙虚な姿勢と素直な心です。何だ、そんなこと?という声も聞こえてきますが、そんなシンプルなことこそ、この仕事の肝になる部分なのです。これからタクシードライバーを目指す方にとっては、意外に思われるかもしれませんが、告げられた目的地、あるいは道がわからない時、ドライバーさんは、お客さまにお訊きします。よく、「プロ・ドライバーが道を素人に訊くんですか?」と、知らない方には驚かれますが、事実、訊いています。

とはいえ、ただ漫然と『訊く』のでは、お叱りを受けるだけです。肝心なのは、訊き方です。先のドライバーさんの上司の方は、こんなことを言っていました。「あの人は、わからないことは訊いてきます。経験者とはいえ、自信過剰になったりしない。そして、こうした方がよいとアドバイスした時に、素直に聞きいれる謙虚さがある。ああいう人は伸びますよ」

東京の人は、地方の方が思っている以上に親切です。道を教え慣れているということもありますが、ご自分の家や会社までのルートは、当然のことながらよくご存知です。とはいえ、「で、どこ?」的な訊き方をするのは問題外なのは言うまでもありません。告げられた目的地がわからなければ、最初にお詫びします。そして、謙虚な姿勢でお訊きする。お礼も当然、忘れてはいけません。この流れがしっかりできる方でしたら、お客さまは気持ちよく教えてくださるでしょう。

技術や知識は後からついてきます。大切なのは、コミュニケーション能力です。

 

 

 

カテゴリー: タクシー | コメントをどうぞ

団体戦

前回、転職をするにあたって、どうか自信を持ってくださいということを言いました。人生のご同輩、先輩諸氏にエールを送る意味もあったのですが、タイムリーな出来事がありました。ソチ・オリンピックで41歳にして銀メダルの快挙を成し遂げた葛西選手の活躍です。男子ジャンプ団体でも、日本が16年ぶりにメダルを獲得しましたので、喜びもまた一入です。もちろん、葛西選手個人の活躍にも賛辞を送りたいのですが、今回は、年齢もキャリアも違う仲間と共に挑んだ団体戦で、成果を挙げたことに拍手を送りたいのです。

ある意味で、企業は団体戦を行っているようなものです。会社の規模の大小にかかわらず、それぞれの社員が運命共同体となって、勝ち上がることを旗印に毎日、奮闘しているはずです。性別、年齢、キャリアも違えば、当然、立場も違います。多少の差異こそあれ、『皆が幸せ』になるためという共通の動機があり、それに向かって邁進しています。

「皆ではなく、自分の幸せにためにでしょ?」という意見もあるかと思いますが、団体戦である以上、自分だけではなく、それぞれの足並みが揃わなくてはいけない場面がでてくるのは必定といえます。とはいえ、そのような一枚岩体制であるからといって、考えや意見が同じでなければいけないはずはなく、実際、違いがあるからこそ、濾過され、磨かれていくものもあるかと思います。

ジェネレーションギャップという言葉があります。【世代の差。価値観の違いから生じる世代間の断絶】という意味ですが、生きてきた時代が違う以上、世代の差はあって当然だと思います。ただし、世代間の断絶・・・これがあることが、問題だと思うのです。差はあったとしても、絶たれてはいけないのではないでしょうか。

個人の意見を言わせていただくと、私はあまり年齢を信じておりません。『年寄りの言うことは、聞くもんだ』と、言われますが、年輪を重ねてきた方が、間違ったことを言わないとは限りません。逆に「若いからダメ」という考え方の方に抵抗を感じます。『尊敬の対象に年齢関係なし』というのが、昔からの私の考えです。

タクシー業界もそうです。少し前までタクシー業務は、ご年配の方がやるものという固定観念を持っている人が多かったはずです。実際、社会経験を活かせるという意味において、多くの方と接するこの職業は、数多ある中でその筆頭かと思います。ただ、イコール「若い人は無理」という考え方は、了見が狭いと言わざるをえません。

こんな話があります。20代前半でタクシードライバーになった方がいらっしゃいました。最初は周りの方から「もっと他の仕事があるだろう」「年をとってからでも出来る仕事じゃないか」と、随分反対されたそうです。ですが、その方には「この仕事で食べていきたい」という確固たる信念がありました。「どうしてそこまで思われたんですか?」と尋ねましたら、「社会人になった以上、多くの人とふれあいたいと思ったんです。もちろん、他の仕事でもできますが、僕は不特定多数の方と近い距離でふれあいたかった。考えて、タクシーだと思ったんです」との回答でした。ここでこの方が言う近い距離とは、物理的な距離ではなく、心の距離も含まれています。

そう思ってから10年が経ち、まだタクシードライバーという仕事を続けていらっしゃるこの方に、どのような心の変化が見られたのでしょう。「この仕事をやっていて、よかったなぁと思えるのはどんな時ですか?」と、お聞きしましたら、「お金をもらって言うのも何ですが、お客様から育ててもらった気がします。未熟だった頃は、お客様に随分とお叱りを受けました。でも、ご一緒に喜びを分かち合う機会があったり、時にはこちらがもらい泣きすることもあったり、タクシーの仕事でなければ、ここまで僕に心を許してくれたのかなぁ・・・と思うことが、かなりあったように思います」というお答えでした。

もちろん、全ての方に当てはまることではないかもしれませんが、その方は最後にこう付け加えました。「僕は環境に恵まれていました。普段、乗務中は一人ですけど、営業所にいる時は、仲間と会うわけです。その時の情報交換の機会が最高に楽しいんです。どのルートがいいとか、どこが工事中だとか。普段は孤独なだけに、尚更その短い時間に強い連帯感を感じるんです。それと、僕の場合は野球部に入っていますから、それも楽しいことの一つですね」

正に仕事は団体戦です。タクシードライバーの仕事は一匹狼的な要素が強いと思われている方も多いと思います。とはいえ、スキージャンプと同じで、記録(売上)は各々のものですが、互いに切磋琢磨してこそ、全体が活きる瞬間があるはずです。

弊社の仕事も一緒です。日常、やっていることは皆違いますし、世代間で言えば、お年寄りが約1名含まれています。もっとも、本人は言うほど、自分がジイさんだとは思っていません。そんな往生際の悪い人がいながらも、絶妙なバランスで、一枚岩となっているはずです。ただ、もう少しそのお年寄りが頑張らないといけません。もっともっと、新しい知識を吸収していかないと、取り残されてしまいます。随分、ひどいことを言うなぁ~と思われるかもしれませんが、自分のことだからよいのです。

 

 

カテゴリー: タクシー | コメントをどうぞ

人生、まだまだですよ

興味深いニュースがあります。『35歳を過ぎると、転職の選択肢は一気に狭まるという定説が崩れつつある』という内容です。ある企業の調査で、、転職成功者に占める35歳以上の割合がこの5年で一気に2倍以上になったことが分かったそうです。もちろん、職種にもよるのでしょうが、一つ言えることは、一定のキャリアを積んできた即戦力、そういう人材は結果として、40代前後に多いということです。(もちろん、それより上の年代も)

仕事柄、多くの年代の方と接している私としては、『この年だから、もうダメだな』という『決めつけ』をいちばんの悪とします。確かに、考えてしまうのも無理はありません。これに関しては、日本の旧来の雇用システムの弊害もあるでしょう。先の35歳を過ぎたら云々という例の線引きです。

固定観念に縛られて、人生の岐路の旬を逃さないでいただきたいと、切に願います。殊にタクシーの仕事は、社会経験を積んでいる人こそ、それが活かされる仕事です。お客様は、性別・年代など様々です。ドライバーさんと同じ年代の人もいるでしょうし、かつてと同じ職業に就いていた人もいるかもしれません。予測不可能なところが、難しいところであり、楽しいところでもあります。

多くの引き出しを持っている方は強いです。『当意即妙』という言葉があります。【すばやくその場面に適応して機転をきかすこと】という意味ですが、これが出来る人は、タクシー業務に適していると思いますし、ご自身もやっていて楽しいと思うはずです。

私の知り合いのドライバーさんで、歴史の好きな人がいます。古地図と言うのでしょうか、昔の地図を駆使して、東京都内の旧跡・故事来歴を調べています。そんな人の車に、共通の趣味を持つ人が乗ったらどうなるでしょう。楽しくないはずがありません。特段、興味のない方でも、今、自分の通っている場所が、教科書に載っているような偉人に縁のある場所であったと説明を受けたとしたら、どうでしょう。夢があるのではないでしょうか。

『痒いところに手が届く』接客は素敵です。その人の経験と個性が最大限に活かせる仕事があるとしたら、それは素晴らしいことではないでしょうか。

私もとうに不惑を超えておりますが、滅多なことでは怒らなくなりました。最近、怒ったことと言えば、私の留守中に皆でカステラを食べていたことを咎めたことくらいです。普段は自分で言うのも何ですが、温厚が服を着ているような人間です。もちろん、個人差はあるでしょうが、ある程度、社会経験を積んだ人は、鷹揚に構えることができるのではないでしょうか。

このことは、タクシー業務に限らず、円滑な人間関係の構築が不可欠な職種、全てに必要な要素だと思います。年齢で線を引くところは、引かせておけばよいのです。その人の人柄と個性を尊重してくれるところに行けばいい話。人生のご同輩、先輩諸氏、どうぞ勇気と自信を持っていただきたいと思います。

活かす場があれば、人は活きます。

 

カテゴリー: タクシー | コメントをどうぞ