タクシードライバー無名人語録4

今日は、祝日・海の日です。海の日・・・と言われても、正直しっくりきません。多分に年代が関係しているのでしょう。つくづく、自分は昭和の人間だと思います。とはいえ、激動の昭和を生きてこられた諸先輩方と比較すると、私などはまだまだヒヨッコです。そこで今回は、昭和の時代をタクシーの仕事を通して、かけ抜けてきたタクシードライバーさんの語録を紹介したいと思います。もう引退された方もいますが、やっていた方ならではの含蓄のある言葉の数々をお楽しみください。

「有名人なんて、そりゃ数えきれないほど乗せたよ。でも、誰がどうだなんてここでは言わない。墓場まで持っていくんだ。」

【一見、何のことかわかりませんね。ですが、心あたりのあるドライバーさんには耳が痛い、プロとしての矜持を感じる言葉です。つまり、守秘義務は守りますよってこと。知り得た情報を守ることは、プロとして、最低限のマナーです。このことは、時代を越えて、原理・原則として欠くべからざるものと言えます。はっきり言って、現在は軽薄な言動が目立つプロもいないではありません。それを考えると重みのある言葉です】

「昔はさ、ねずみ色や、こげ茶色が多かったの。今はさ、桃色か橙色だよ。文句言う奴もいるけど。でもね、若い人が変えてってくれるんだからさ、そりゃ、ありがたいことなんだよ」

【23区のある特定の地域のことを言っています。どこだかわかる人は、相当に勘が鋭い人です。正解は・・・秋葉原です。昔は電化製品に関する専門的な部品を扱っている店が、軒を連ねていました。電子管なら電子管、ソケットならソケットだけを売っていた、市場のような雰囲気だったのです。そこには、業者も買いに来ていましたし、自分でラジオやらを作っている人達も大勢来ていました。当然のことながら男子率は90%を超えます。自ずと服の色は、ねずみ色・・・(これも古い言い方ですが、グレーのこと)やこげ茶色になります。そこから時を経て、現在は、パステルカラーになっていることは、周知の事実です。この方は、人が街を変え、人が街を運用していくものであることを感慨深く語っているわけです】

「昔はカーナビなんてののは、もちろんありません。今は大変に便利になりました。ですが、我々は画面上のまっ平な道を走っているのではありません。人が横切り、車が縦横無尽に走る立体を走っているんです。そこんとこ、間違えちゃいけませんね」

【カーナビは便利です。ですが、絶対ではありません。お使いになった方ならお分かりでしょうが、必ずしも最短経路を示すわけではありませんし、機種によってはとんでもないルートを示す場合があります。そして、もう一つ。原則があります。お客様はお客様の通りたい道があるかもしれませんし、そうかもしれないという想像力を、プロであるなら働かせるべきです。ここでは、自分の見て、感じたものを大切にしなさいよ、便利なものがあっても過信しちゃいけないよということを言っています】

いかがでしたか。タクシーを媒介に、人と街と時代を見つめてきた方ならではの、深みのある言葉もあったのではないでしょうか。タクシーの仕事を長く続けてきた方々とお話するのは、本当に楽しいです。接客のプロであり、会話のプロなのですから、もっともな話なのですが、多くのものを見聞きしてこられたであろうその佇まいには、歴史の生き証人としての威厳しら感じます。

タクシーは、時代も送迎しているのですね。

 

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