初めからできる人はいない

地方にお住まいの方で、上京してタクシーの仕事に就きたいという方がいらっしゃるかと思います。心配は、やはり地理のことでしょうか。ご存知ない方のために、ご説明させていただきますと、タクシーには営業エリアがあります。例えば東京では、東京都特別区・武三交通圏があります。東京23区と武蔵野市・三鷹市のことです。

東京23区と一口に言っても、端から端までずいぶんと距離がありますし、神奈川寄りか千葉寄りかによっても、また違ってきます。ただ、東京以外のエリアの方にお訊きしたいのですが、ご自分の住んでいる地域以外のことを、どれだけご存知でしょうか。もちろん、都道府県は面積も違いますので、一概には言えませんが、皆さん意外とご自分の住んでいる地域の、本当に近郊しか知らないのではないでしょうか。

仕事で行く、親戚・知り合いが住んでいるなど、何かしらの縁(えにし)がないと、それほど行く機会はないと思われます。東京も同じこと。東京生まれ・東京育ちの方も、城北エリアはよく知っていても、城南エリアになると、皆目見当がつかないということが、往々にしてあります。もちろん、生まれ育ちが東京であれば、おおよその見当はつくでしょうが、そんなことは後から理屈で勉強すればいい話です。

勇気は必要かと思います。自分の知らない土地でやるわけですから。でも、言葉の通じない外国ではありません。東京のベテランドライバーさんでも、本当に道がわからない時は、お客様にお訊きするといいます。問題は訊き方です。最初から道を知っていることに越したことはありませんが、そういう人のみでは、東京のタクシー会社は回らなくなってしまうでしょう。

私の知っているタクシードライバーさんで、地方から出てきて、コツコツと道を覚え、今では都内の道のエキスパートになっている人がいます。その人の最大の武器は、訊き方が上手なことです。謙虚さが大切だとも言っていました。人にものを教えるのは、大抵の場合、気持ちが良いものです。多少なりとも優越感に浸れます。その方は、お客様にお訊きしているようで、その実、お客様の気分も良くさせているのです。そして、そこで得た地理の情報をご自分の財産にしています。問題は訊き方です。慇懃無礼という言葉がありますが、それではいけません。心から「教えていただけませんでしょうか」という姿勢を見せることが肝要です。テクニックではなく、ハートですね。

色々書きましたが、これだけは言えます。『初めからできる人はいません』

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