目配り・心配り

「私は、地方出身だから不利です。東京の道も知りませんし」

東京でタクシードライバーの仕事に就くにあたって、このように言う方がいらっしゃいます。自信がないのは分かります。東京23区は想像以上に広いですし、聞いたこともない地名もたくさんあるかもしれません。ただ、一つ言えることは、東京出身の方でも都内全ての地理を把握しているわけではありません。地方出身の方で、一から東京の道を覚えて、今では都内の地理のエキスパートになっている方を知っています。

今日、ある方と電話で話をしました。山梨県のご出身で、弊社の紹介で都内の会社に就職された方です。都内の地理には自信がないと、初めは言っていたのですが、乗務されてから半年と経たないうちに、営業成績がトップクラスになりました。「その人は特別なんでしょ?」という声も聞こえてきますが、今回は直近のパターンをお話をしただけで、このような例は他にいくらでもあります。

ここでお伝えしたいことは、その方の姿勢です。とにかく、前向きなのです。そして、私が言うのもどうかと思いますが、大変に素直な方なのです。新人の方で、奇をてらった営業方法で、失敗されてきた方を私は多く見ています。確かに人と同じことをやっていては勝てません。とはいえ、それは経験を重ねて、初めてできることではないでしょうか。その方も逆転の発想で、そのような動きをすることもあるようですが、あくまで正攻法の範疇で行っているようです。

当然のことながら、営利目的である以上、タクシー会社さんは、ドライバーさんに稼いでいただかなければなりません。数多の未経験の方を、一人前にしてきたノウハウも当然持っています。私は、よく企業訪問をしますが、「できない人ほど我流に走ります。こちらはできるやり方を伝えているのですから、最初のうちはそのまま実践していただければいいんですよ。だから、素直な人ほど伸びるんです」という声をよく聞きます。

言われたことだけ、やっていればいいというものじゃない・・・それも一つの意見ですが、少なくとも最初のうちは、経験則から生まれた、確率の高いやり方を踏襲された方がいいと思います。タクシーの話ではありませんが、少し前、TVで一流パティシエの方が、「レシピ通りに作ったものが、間違いなくおいしい」という主旨のことを言っていました。何気ない言葉でしたが、特にお菓子は、材料が1グラム単位でも違えば味が変わってくると聞きます。「これだっ!」と完成されたレシピがあるとしたなら、無駄なアレンジは不要・・・ということなんですね。

ただし、創意工夫は必要かと思います。先の山梨県出身の方も、都内の地理をかなり研究しています。プラス、その方はよく気づく方です。『気づき』って、本当に大切なことです。お客さまは、手を挙げて車両を停止する方だけではありません。無言でアイコンタクトを送ってくる方もいます。それを素早く察知し、スムーズにご利用いただく・・・目配り・心配りが大切なのですね。

日車輸送回数が多いというトップ・ドライバーさんに欠かせない要素も、その方は今の段階で満たしています。会社の方針で、最初のうちは日勤をしていましたが、最近、隔日勤務に変わったそうで、いよいよ真価が発揮される時です。その方と話している時に、「楽しみ」という言葉が随所に出てきました。こういう人は強いです。

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