ミッドナイト

タクシードライバーさんを題材にしたドラマ・映画は数多ありますが、漫画となるとそうは聞かないのではないでしょうか。少なくとも、私はあまり知りません。唯一、手塚治虫先生の『ミッドナイト』だけは、リアルタイムで拝読していました。

私より前の世代の方は、手塚先生といえば、『鉄腕アトム』『リボンの騎士』などの作品を連想されるのではないでしょうか。私は断然、『ブラックジャック』 『ミッドナイト』に思い入れがあります。『ミッドナイト』は、『ブラックジャック』に比べてあまり話題になることがありませんので、少しご説明させていただきます。

ミッドナイトとは、主人公のタクシードライバーの通称です。その名の通り、彼は深夜の時間帯を専門に勤務しています。業界で言うところの、夜日勤(ナイト)専門です。一見、ドライに見えて、実はお人好しな主人公は、おせっかいな性格も手伝って、さまざまな出来事・事件に巻き込まれていきます。この辺りは、『ブラックジャック』の主人公とも似通っていますが、その他にもモグリであることなど、いくつかの共通点が見られます。

手塚先生の描くプロフェッショナルは、総じてニヒルで、ストイックで、それでいて人間的な魅力に溢れていて、本当にカッコいいです。彼らは、好むと好まざるとにかかわらず、事件の渦中に身を置くことになります。とはいえ、自ら首を突っ込んでいると思われる節も、随所に見られます。そこが愛すべきところです。

『ミッドナイト』の主人公を見ていると、私の知り合いのタクシードライバーさんを思い出します。たまにしか連絡がありませんが、いつも心拍数の上がる内容が多いです。自らも、「僕は危険なところに首を突っ込む癖がある」と、言っています。『ミッドナイト』の主人公と重なるところは、おせっかいで、お人好しなところです。そこがその方の素晴らしさであり、危うさでもあります。

仲間思いのナイスガイなのですが、一時期、あまりにもトラブルが続いたものですから、「○○さんが、ご自分からトラブルを呼んでいるんじゃないですか」と、余計なことを言ってしまいました。これ以上、危険な目に遭ってほしくないという気持ちから出た言葉です。ご本人も納得はされていましたが、性(さが)なのでしょうか、本質的には変わっていないようです。

お若い時分からタクシーの仕事で、真面目に頑張ってきた方です。理不尽なことに耐え、憂き目に遭っても、乗り越えてこられた過去も知っています。それだけに、その方には報われてほしいと思うのです。ご本人の営業スタイルがあるかと思いますので、これ以上、余計なことを言うつもりもありませんが、大事に至らないよう、ただ、祈るばかりです。

「危ない目にも遭ってきましたし、とんでもないものも見てきました。でも、自分はこの仕事が好きなんですよ。天職だと思っています」そう、言っていた言葉が忘れられません。天職だと思える仕事に巡り会っている方が、世の中にいかほどいらっしゃるでしょう。素晴らしいことだと思います。

今頃、どの辺りを走っているんでしょうか。いつも気になります。

 

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