グアムのタクシー vo.3

初回で、トミーさんというタクシードライバーさんとのエピソードをご紹介させていただきましたが、もう一人、印象に残るタクシードライバーさんがいました。お名前は聞き忘れてしまったのですが、トミーさんとは違い、少しご年配の方でした。正に『いぶし銀』のような接客をされていたので、最終回に登場していただきたいと思います。

 

写真は、オンワードビーチリゾートのエントランス前です。ここはビーチも近く、ミクロネシア最大級のウォーターパークがあることでも有名です。私たちもこ の施設を利用しました。水のアクティビティーを楽しみ、移動のためタクシーを手配してもらい、乗り込もうとしたその時、ご年配のドライバーさんが、「ちょっと 待って」という感じで私たちを制しました。

何かと思い訊ねたのですが、どうも服装が気になったらしく、はいているハーフパンツを指さして、「それ、水着じやない?」と、訊いてきました。確かに数十分前までは水着でしたが、濡れねずみのままタクシーを利用することなど、もってのほか、マナーは守ります。「いいえ、いいえ、違います。何なら触ってみてくださいよ」私は自分のハーフパンツの裾を、ドライバーさんに向けました。

「うん、まぁ、兄ちゃんのは大丈夫そうだな」という顔をしたお父さん(そんな感じに見えたので、ここでは親しみを込めてそう呼びます)は、「そっちの彼のはどうだい?」と、他のメンバーのハーフパンツに目を向けました。一人はなぜか裸足でしたが、皆、衣服は濡れてません。「お父さん、大丈夫ですよ。皆、乾いています」ジェスチャーも交えてそう伝え、安心させようとしました。お父さんはニヤリと笑い、首を横に振り、やにわにトランクから毛布のようなものを出して、シートに敷き始めました。

 

海に囲まれた常夏の島ならではのこと、お父さんにしてみれば、至極、当然のことかもしれません。ただ、次に利用されるお客様のことを考えて、今できる最善のことを仏頂面でなく、笑顔で行うお父さんに私は好感をもちました。人情の機微を敏感に察知し、臨機応変に対応する・・・国は違えど、仕事の肝に国境はないんだと、改めて感じた瞬間でもありました。

私は助手席に座るのが好きです。それは海外でも変わりません。今回もご多分にもれず、お父さんの横に座りました。車内であるものが気になっていたので、どうしても訊いてみたくなりました。私の英語はブロークンにも程がありますが、思ったことは訊かずにはいられません。気になるものとは・・・これです。

お守りです。日本のものを大切にしてくれている気持ちが嬉しく、「これは日本のお守りですよ」と伝えました。お父さんは、当然、知っていたと思いますが、そこは優しさで、「本当?日本人のお客さんがプレゼントしてくれたんだよ」と返してくれました。「知ってるよ」という答えだったら、そこで会話は終わってしまいます。

それは、お守りの贈り主と同じ日本人の気持ちを尊重してくれたことに他なりません。この辺りが、『いぶし銀』の接客だと思います。独断ではありますが、グアム滞在中・最優秀タクシードライバーとして、トミーさんと共にダブル受賞していただきたいと思います。

東京オリンピックを控えた今、きめ細かい接客に定評のある日本のタクシードライバーが、真骨頂を発揮する時だと思います。

 

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